作戦会議のホンネ
【ミスマッチ/定着】「なぜ、採用した人がすぐ辞める?」入社後ギャップをなくす”戦略的オンボーディング”とは
「時間をかけて採用した期待の人材が、数ヶ月で辞めてしまった…」
「入社後のフォローは現場に任せているが、どうも定着率が上がらない」
経営者や人事の皆さんとお話ししていると、こんな「痛み」の声を本当によく聞きます。
「またか…」という現場の疲弊感。失われた採用コストと教育コスト。
これは単なる人事課題ではなく、事業の成長を鈍化させる、深刻な経営課題です。
もしあなたが「ウチはちゃんと研修もやっているのに」と悩んでいるなら、この記事がその答えになります。
早期離職の根本原因は、採用ミスでも研修不足でもありません。
それは「入社後180日間の孤独と不安」です。
この記事では、その孤独を解消し、採用を「コスト」から「未来への投資」へと変えるための具体的な設計図、「入社後180日体験デザイン」について、私の伴走経験から得た知見をすべてお伝えします。
(共感)「またか…」採用コストと現場の疲弊感が組織を蝕む
まず、この「痛み」を直視しましょう。
一人の中途採用にかかるコストは、決して安くありません。その人が3ヶ月や半年で辞めてしまったら、そのコストはすべて水の泡。それだけではありません。
⚫︎受け入れた現場の教育コスト
⚫︎「ウチの会社、やっぱりダメなのかな」という既存社員の士気低下
⚫︎そして、またゼロから始まる採用活動…
この負のスパイラルが、組織の成長をどれだけ蝕んでいるか。経営者こそ、この「痛み」に誰よりも敏感でなければなりません。
(共感)「自分のデスクがない」「PCが未設定」…入社初日の”放置”が疎外感を生む
「まさか」と思うかもしれませんが、これ、驚くほど“あるある”な話です。
入社初日。期待と不安を胸に出社した新入社員。
それなのに、「あれ、あなたの席どこだっけ?」「ごめん、PCのセットアップまだだった」…
これはもう、最悪のスタートです。
会社側は「ちょっとした不手際」くらいにしか思っていません。しかし、新入社員はこう感じます。
「自分は、歓迎されていないんじゃないか?」
この入社初日の「小さなつまずき」こそが、修復困難な“疎外感”の第一歩になるのです。
(共感)歓迎会もなく、相談相手も不明確。新入社員が感じる「静かな孤独」
(発見)なぜ入社後180日(半年)がリテンションの「魔の期間」と呼ばれるのか?
新入社員の心理状態は、入社後180日間で激しく揺れ動きます。
(発見)「お客様扱い」が抜けない。”仲間”になれないまま過ぎる焦り
「何か困ったことあったら、いつでも言ってね」
この一見優しい言葉が、時に新入社員を追い詰めます。
手厚くフォローしているつもりが、いつまでも「お客様扱い」になっているケースです。
新入社員は「早く“仲間”として認められたい」と思っています。
いつまでもお客様扱いが続くと、「自分はまだ部外者なんだ」という焦りが募ります。
(発見)「貢献できていない」焦燥感。自分は必要とされていないという不安
ただの研修と違う!新入社員を「仲間」に変える戦略的オンボーディングの本質
(希望)オンボーディング = 導入研修、という致命的な誤解
ここで、多くの企業が陥っている「よくある間違い」を指摘させてください。
もしかして、あなたの会社のオンボーディングは、「入社時研修のチェックリスト」になっていませんか?
「PC設定OK」「社内ルール説明OK」「OJT担当任命OK」…それで終わり。
それは「オンボーディング」ではありません。ただの「事務手続き」です。
(希望)目的は「業務を教える」ことではなく、「心理的安全性」と「貢献感」を最速で育むこと
では、オンボーディングとは何か?
私はこう再定義しています。
オンボーディングとは、業務を教えることではなく、新入社員が「ここが自分の居場所だ」「自分はここで活躍できる」と最速で実感してもらうためのプロセス設計である。
目的は、「孤独」を「心理的安全性」に、「不安」を「貢献感」に変えること。
そのための設計図こそが、次にお話しする「入社後180日体験デザイン」なのです。
定着率向上に直結!中小企業こそ実践すべき「入社後180日体験デザイン」
ここからが本題です。
新入社員の入社後180日間の「体験」を、会社が意図的に設計(デザイン)する。
リソースが限られる中小企業やスタートアップこそ、この「仕組み化」がしゃかりきに大事です。
(解決策)Key 1: 「役割と期待」に加え、「半年後の合格ライン」を明確に握る
“放置”の対極は、“明確化”です。
入社時、新入社員と何を握るべきか?
⚫︎あなたの役割(Role): このチームで、あなたに果たしてほしい役割はこれだ。
⚫︎期待(Expectation): だから、私たちはあなたにこれを期待している。
⚫︎合格ライン(Goal): そして、半年後(180日後)、あなたにはこの状態になっていてほしい。
お互いの「力量」が見えてくる半年後という節目に、具体的な「合格ライン」をすり合わせておく。
これが、新入社員の「何を頑張ればいいか分からない」という不安を消し去る、最初の羅針盤になります。
(解決策)Key 2: 習得項目を可視化する「OJTロードマップ」と、ズレを修正する「すり合わせ面談」
(解決策)Key 3: 個性を活かす配置と「上司との相性」を見極める人事的フォロー
「心理的安全性」を担保するために、人事の「伴走」が不可欠です。
⚫︎上司との1on1(週1回): 業務の進捗と当面の課題をすり合わせる。
⚫︎人事との面談(月1回): 「上司には直接言いにくいこと」をキャッチする。
特に「上司との相性」は、人の定着に致命的な影響を与えます。
また、その人の個性(Professional Frequencies for Value)をどう活かすか。
人事は、上司と新入社員の“両輪”を側面支援し、時には配置の調整も視野に入れながら、その人が最も輝ける場所をデザインする「伴走者」でなければなりません。
(確信・行動)まだ間に合う。採用段階から始まる「一貫した定着プロセス」の重要性
採用ミスマッチは入社後に解消できない。会社の「泥臭い部分」も開示する重要性
ここまで「入社後180日体験デザイン」の重要性をお話ししてきましたが、大前提が一つあります。
それは、「採用段階でのミスマッチは、入社後のオンボーディングではほぼ解消できない」という現実です。
採用時に、会社の良い面だけでなく、悪い面や「泥臭い部分」も正直に伝えていますか?
そのカルチャーや課題を理解した上で、「それでも、ここで挑戦したい」と覚悟を持って入社してもらう。
オンボーディングとは、入社後に始まるものではありません。
候補者と出会った瞬間から始まる、「採用から定着までの一貫したプロセス」なのです。
まとめ:「採用」を「成功」に変える。オンボーディングは"体験デザイン"への投資である
早期離職の痛みは、経営の痛みです。
その原因は、新入社員の「孤独」と「貢献感の欠如」にあります。
それを解決するのが、場当たり的な研修ではなく、戦略的な「入社後180日体験デザイン」です。
新入社員を「お客様」から「仲間」へ、そして「事業をドライブさせる戦力」へと変える。
それは、彼ら彼女らが「晴れやかな表情で働ける」場所を、会社が本気でデザインすることに他なりません。
「採用」をゴールにするのは、もう終わりにしましょう。
採用はスタートです。その採用を「成功」に変えるための設計図を、今すぐ描き始めてください。
- 「入社初日の体験」を再点検する。(PC、デスク、歓迎の空気は完璧か?)
- 新入社員向けの「180日後(半年後)の合格ライン」を言語化してみる。
- 「OJTロードマップ」の雛形を作成し、現場の上司と共有する。
- 上司の1on1とは別に、「人事との月1面談」をカレンダーに強制的に組み込む。
- 採用面接で、自社の「良い面」だけでなく「泥臭い課題」も話せているか見直す。
採用は「経営課題」であり、定着は「戦略」です。
もし今、「人が辞める」という痛みを抱えているなら、それは「仕組み」で解決できます。
「採用」から「定着・活躍」までを一気通貫で伴走し、貴社の事業をドライブさせる「戦略人事」の仕組みづくりを、私たちが本気でサポートします。
机上の空論ではない、血の通った人事戦略について、まずは一度お話ししませんか?
「ウチの採用ミスマッチ、根本から解決したい」
「採用を『コスト』から『投資』に変える戦略を一緒に考えてほしい」
「机上の空論ではない、現場で使える採用の仕組みが知りたい」
もし本気でそうお考えなら、一度、私たちHaReエージェンシーに相談してみませんか?
経営者の「伴走者」として、貴社の事業課題を採用の側面から解決します。
まずは、お気軽にお問い合わせください。
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□採用戦略が固まっておらず、 母集団形成ができていない
□難易度の高い職種に対して、戦略的な採用が実行できていない
□離職率が高く人材定着に課題がある
□様々な業務が多忙で人材課題に手が付けられない