作戦会議のホンネ
もう、やめよう。「空回り採用」。
「応募は来るのに、なぜか採用が決まらない…」
「面接や調整の工数ばかりが増えて、現場も人事も疲弊している…」
こんな経験、ありませんか?
事業会社で人事責任者をしていた頃も、そして独立して20社以上の採用を伴走支援している今も、この悩みは本当によく聞きます。
もし、あなたが「とにかく応募者(量)を増やさきゃ!」と、求人媒体やエージェント対応に躍起になっているとしたら、少し立ち止まってください。
その活動、もしかしたらコストを垂れ流しているだけかもしれません。
この記事では、多くの企業が見落としがちな採用の「質」の重要性と、採用を「コスト」から「未来への投資」に変えるための具体的な戦略について、現場のリアルな視点でお話しします。
「採用の課題って何ですか?」
私たちがクライアントの経営者や人事の方にこう質問すると、驚くほど多く、実に9割近くの方が「応募者が集まらないこと(=量)」と答えます。
もちろん、応募者がゼロでは採用活動は始まりません。「量」が大切なのは大前提です。
ですが、私たちHaReエージェンシーは、採用課題を必ず「量(募集団形成)」と「質(選考プロセス・魅力づけ)」の2つに分解して整理します。
なぜなら、「量が足りない」と嘆いている企業の多くが、実は「質」に深刻な問題を抱えているケースがほとんどだからです。
「応募が来ない」という事実にばかり目が行き、「なぜ応募が来ないのか?」「来た応募者をなぜ惹きつけられないのか?」という、採用活動の”中身”(=質)への解像度が低い。
これが、多くの採用がうまくいかない根本原因なんです。
応募者(量)はそれなりに集まっているのに、採用決定(成果)に結びつかない。かけた労力(コスト)だけが無駄に消費されていく。
これは、典型的な『空回り採用』の症状です。
車輪が勢いよく回っていても、地面を掴んでいなければ車は前に進みませんよね。
採用活動も同じです。
いくら「応募者(量)」を集めても、選考プロセス(質)が候補者の心を掴み、入社意欲を高めるものでなければ、採用決定という「成果」には繋がりません。
「応募が来ている」という事実は、一見、活動が前に進んでいるように見えるため、人事担当者にとって「募集団形成という名の安心材料」になりがちです。
ですが、その裏側で何が起きているか。
面接の調整、応募書類の確認、面接官のアサイン…これらすべてに、あなたの、そして現場社員の貴重な「人件費工数」というコストが膨大にかかっています。
採用が決まらなければ、これら全てが無駄なコスト(=空回りで消費されたエネルギー)になるんです。
さらに深刻なのが、「事業成長の機会損失」です。
・やっとの思いで進んだ候補者に、内定を辞退される。
・入社はしたものの、ミスマッチですぐに退職してしまう。
これは、その人が将来事業をドライブさせるはずだった「未来の利益」を丸ごと失うこと。空回りの末に失ったものは、ただのコストではなく、会社の未来そのものなんです。
「じゃあ、うちは『空回り採用』かもしれない…」
そう思った方は、ぜひこの4つの質問に「Yes」と答えられるか、胸に手を当ててみてください。
もし一つでも「No」があれば、あなたの会社の採用も空回りしている可能性が非常に高いです。
□ チェック1:採用マーケティング(3C分析)はできていますか?
・もしかして、競合他社がやっているから、という理由で求人媒体を選んでいませんか?
・自社(Company)の魅力、競合(Competitor)との違い、そして求める候補者(Customer)が本当に求めていること。これを分析できていますか?
□ チェック2:自社の魅力を「統一コンセプト」で語れていますか?
・もしかして、面接官によって言っていることがバラバラになっていませんか?
・「給与が高い」「休みが多い」といった”条件“だけでなく、「この会社で働くことの”意味”」を定義した、一貫したメッセージ(=統一コンセプト)がありますか?
□ チェック3:候補者への「プレゼンテーション設計」は存在しますか?
・もしかして、面接を「候補者を見極める場」とだけ考えていませんか?
・採用とは、会社が候補者に「選んでもらう」場でもあります。どのタイミングで、誰が、どんな資料を使って、会社の魅力をプレゼンするか。その設計図はありますか?
□ チェック4:面接官は「会社の顔」としてトレーニングされていますか?
・もしかして、「現場が忙しいから」と、面接を現場任せにしていませんか?
・候補者にとって、面接官は「会社の顔」そのもの。その「顔」が、自社の魅力を正しく伝え、候補者の不安を解消し、入社意欲を高めるためのトレーニングを受けていますか?
ここまで読んで、「うちは『空回り採用』だ…」と気づいた方。
大丈夫です。空回りは必ず止められます。
そのために必要なのが、「採用マーケティング」という視点です。
採用活動とは、実は「自社の魅力を商品として、求める人材(顧客)に届けるマーケティング活動」そのもの。
「量」偏重から脱却し、応募から入社までの「歩留まり率」を改善する唯一の方法は、このマーケティング視点で「質」をしゃかりきに高めること以外にありません。
私たちが支援する際は、主に以下のステップで「空回り」を止め、採用活動を「前進」させていきます。
STEP1:魅力の「可視化(かしか)」
・まずは、自社が持つ魅力を徹底的に棚卸しします。「給与」や「福利厚生」といった目に見えるものだけでなく、「事業の将来性」「社風」「経営者のビジョン」「得られる成長体験」といった目に見えない資産をすべて言語化します。
STEP2:統一コンセプトの「策定」
・可視化した魅力の中から、ターゲット(求める人材)に最も響く要素を抽出し、それらを束ねる「採用コンセプト(=採用活動のキャッチコピー)」を定めます。
・(例:「日本一、失敗を歓迎する会社」「”ありがとう”で駆動するチーム」など)
・このコンセプトこそが、面接官や求人票など、すべての発信の「ブレない軸」になります。
STEP3:選考体験(Candidate Experience)の「設計」
・策定したコンセプトを、候補者が体験するすべての接点(求人票、スカウトメール、面接、内定オファー面談)に落とし込みます。
・「どの選考フェーズで」「誰が」「何を伝えるか」を細かく設計し、候補者が選考を通じて徐々に会社の“ファン”になっていくような体験をデザインするんです。
『空回り採用』から脱却し、「質」を高めることは、短期的なコスト削減だけに留まりません。
選考体験が劇的に良くなれば、内定辞退率は下がります。
自社の魅力が正しく伝われば、入社後のミスマッチは減り、定着・活躍が促進されます。
そして、何が起こるか。
入社した社員が自社のファンになり、「うちの会社、すごく良いよ」と友人に声をかけてくれる「リファラル採用」が自然と活性化し始めます。
つまり、「質」を極めることは、最終的に「量」の課題をも解決するんです。
これが、私たちが目指す「持続的な事業成長を促す採用」の姿です。
採用活動は、目先の欠員補充(コスト)ではありません。未来の事業を創る仲間集め(投資)なんです。
元お笑い芸人だった私は、「人を笑顔にする力」を信じています。
人事責任者だった私は、「ビジョンフィットがもたらす輝き」を知っています。
採用とは、机上の空論ではなく、血の通った活動です。
採用の「空回り」を止め、働く人が「晴れやか」な表情で活躍できる。そんな未来を、私たちは「伴走者」として一緒に創りたいと思っています。
最後に、この記事でお伝えしたかったこと、そして明日からすぐに試してほしいことをまとめます。
応募者(量)だけを追う『空回り採用』は、コストと機会損失を無駄に消費するだけです。
採用を「投資」に変える鍵は、「質(=採用マーケティングと選考体験)」にあります。
【明日からできる、「空回り採用」を止める「3つのアクション」】
1.「自社の魅力」を10個書き出してみる
・まずは「可視化」の第一歩。給与や待遇以外で、社員がイキイキと働いている理由を言語化してみてください。
2. 最近の面接を「候補者目線」で振り返ってみる
・「自分が入社したくなるような体験だったか?」「会社の魅力は伝わったか?」を自問自答してみてください。
3. 現場の面接官と「採用で何を伝えたいか」を話してみる
・「統一コンセプト」の第一歩。面接官によって言うことがバラバラになっていないか、すり合わせてみましょう。
採用活動は、時に泥臭く、成果が見えにくいものです。
ですが、今日の小さな「質」へのこだわりが、必ずや未来の大きな事業成長へと繋がっていきます。
「自社の”空回り”の原因がどこにあるか、プロの視点で診断してほしい」
「採用マーケティングの設計図を、一緒に作ってほしい」
「机上の空論ではない、現場で動ける採用戦略の”伴走”が必要だ」
もし本気で採用を「コスト」から「投資」へと転換させたいとお考えなら、ぜひ一度、私たちHaReエージェンシーにご相談ください。
経営者の隣で汗をかき、貴社の事業が晴れやかになるまで、しゃかりきに伴走します。
「ウチの採用ミスマッチ、根本から解決したい」
「採用を『コスト』から『投資』に変える戦略を一緒に考えてほしい」
「机上の空論ではない、現場で使える採用の仕組みが知りたい」
もし本気でそうお考えなら、一度、私たちHaReエージェンシーに相談してみませんか?
経営者の「伴走者」として、貴社の事業課題を採用の側面から解決します。
まずは、お気軽にお問い合わせください。
無料HR戦略相談受付中
□採用戦略が固まっておらず、 母集団形成ができていない
□難易度の高い職種に対して、戦略的な採用が実行できていない
□離職率が高く人材定着に課題がある
□様々な業務が多忙で人材課題に手が付けられない