作戦会議のホンネ
AIにスカウトを書かせたら、「人事の本当の仕事」が見えてきた
スカウトを送り続けているのに、返信が来ない——そんな状況、思い当たりませんか?
「文面が悪いのか」「媒体が合っていないのか」と原因を探しているうちに、一番大切なことを見落としていることがあります。
弊社がスカウト業務にAIを取り入れたのは、効率化が目的でした。
結果として、作業時間は約5分の1に、返信率は約1.5倍になりました。
ただ、それ以上に大きかったのは、「人事が本来やるべき仕事は何か」がはっきり見えてきたこと。
今回は、AIにスカウトを書かせる中で気づいた「採用言語化」という最大の課題についてお話しします。
スカウト業務はノンコア。でも「読み込み」はコアだった
人事の時間はノンコアに食われている
採用業務の中で、「スカウトを送る」という作業はノンコア業務です。
候補者リストを開いて、文面を選んで、送信ボタンを押す。このプロセスは専門性を問わない作業です。
それにもかかわらず、多くの採用担当者はここに膨大な時間を使っています。
弊社のクライアント企業を見ていても、週の業務の大部分がスカウト送信・日程調整・書類管理といったノンコアで埋まっているケースが少なくありません。
そして多くの場合、当事者はそれを”仕方ない”と受け入れています。
「送る」はノンコア。「誰に・何を届けるか」を考えるのがコア
ただし、スカウト業務にはコアな部分もあります。
「この候補者は、うちのどのポジションに刺さるか」「どの経験に共鳴してもらえるか」を考えること——これはノンコアではありません。
候補者のプロフィールを深く読み込み、自社の文脈と接続する作業は、採用の質を左右する本質的な仕事です。
そしてここが、AIの得意な領域でもあります。
AIに教えた「3つの言語化」
実際にAIを導入してみると、すぐに壁にぶつかりました。
「スカウト文面を書いて」と指示しても、出てくるのはどこかで見たような、いかにもAIが書いた文章。「これじゃない」という感覚が強くありました。
問題は、AIへの情報の渡し方にありました。
① 職務経歴書を直接読み込ませる
最初に変えたのは、AIへの情報の渡し方です。
候補者の職務経歴書をAIにそのまま読み込ませ、「この人のキャリアと、うちのポジションがどう繋がるか」を考えさせる。ローカル環境でファイルを直接処理させることで、候補者一人ひとりに合わせた文面が出てくるようになりました。
「送る」という作業は誰でもできる。でも「この人のどの経験に光を当てるか」を読み解くプロセスは、情報をきちんと渡せばAIが担える——この発想の転換が最初の変化でした。
② 「どんな人に届けたいか」を言語化して渡す
次に取り組んだのが、ターゲット定義の言語化です。
「営業経験がある人」ではなく、「新規開拓で数字を持った経験があり、裁量を求めている30代前半」というレベルまで落とし込んで渡す。ここが甘いと、AIは当然ながら汎用的な文面を返してきます。
定義が浅ければ、アウトプットも浅い。AIはその鏡です。
③ 「うちで働く価値」を採用担当が先に言語化する
これが一番難しく、そして一番大切な言語化でした。
「うちに来るとどんないいことがあるか」——この問いに正面から答えられる採用担当者は、思いのほか少ない。AIに書かせようとして初めて、「自社の訴求軸が言語化されていない」という事実に気づく企業が多いのです。
AIへのインプットが整理されているということは、採用の軸が整理されているということ。AIを使う過程で、採用戦略そのものが固まっていく側面があります。
変わったのは、返信率だけじゃなかった
3つの言語化を整えてから、スカウト業務の中身が変わりました。
作業時間は約5分の1。返信率は約1.5倍。
数字以上に大きかったのは、採用担当者の仕事の中身が変わったことです。
「送ること」に使っていた時間が、「読み込むこと」と「考えること」に使えるようになりました。
品質管理は人間がやる。AIとの正しい役割分担
AIに任せていいのは、情報を処理して文章化するプロセスです。
最終的なチェック、文面のトーンが候補者に合っているかの判断、プロンプトの改善——これは人間がやる仕事。
AIが作った文面を「なんとなく送る」のではなく、品質を見て調整するサイクルを回すことで、アウトプットは少しずつ上がっていきます。
AIに仕事を奪われるのではなく、採用担当者の仕事が「作業」から「判断」へ格上げされる——それが、私たちが現場で実感しているAI活用の本質です。
まとめ:明日からできる3つのアクション
- スカウト業務の時間を計る — 1週間のうち、どれだけの時間をノンコア業務に使っているかを把握する
- ターゲット定義を文章化する — 「誰に届けたいか」を箇条書きで言語化する。これがそのままAIへのインプットになる。
- 自社の訴求軸を3つ書き出す — 「うちで働くと何がいいか」を3点。書けない部分が採用の弱点。
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