作戦会議のホンネ
「また年収で負けた…」はもう終わり。表面的な“点”で戦わない、候補者の「“選社軸”を見極める」採用の極意
「飯澤さん、またダメでした。年収で、競合に負けました…」
「この人こそは!」と期待していたエース級の人材。
何度も面接を重ね、手応えも感じていた。
それなのに、最後の最後で届いたのは、競合他社への入社を決めたという連絡。
その理由が、「提示年収の差」。
こんな悔しい経験、経営者や人事担当者のあなたなら、一度ならずあるのではないでしょうか。
「ウチの給与テーブルでは、これ以上は出せない…」
「大手と同じ土俵で戦うのは、もう限界だ…」
そうやって、諦めかけていませんか?
もし、その「年収での敗北」が、実は“思い込み”だとしたら?
もし、年収という土俵から降り、自社の本当の魅力(=今ある武器)で戦う方法があるとしたら?
この記事では、「年収勝負」という消耗戦から脱却し、候補者の心の奥底にある「“選社軸”」を見抜き、口説き落とすための実践的な採用戦略をお伝えします。
なぜ、あなたの会社は「年収(=点)」で負け続けるのか?
6人連続内定辞退… 中小企業が直面する「給与テーブル」という現実の壁
「正直、6人連続で最終面接後に辞退されたんです」
これは、僕が以前ご支援した中小企業の社長から聞いた、生々しい現実です。ニッチなトップメーカーで、技術力も安定性もある。しかし、どうしても大手企業のような高い年収は提示できない。
「ウチより年収が100万高いA社に決めたそうです…」
そんな報告が続くうちに、社長も人事も「どうせウチは給料が低いから」と、採用活動そのものに疲弊しきっていました。
給与テーブルは、会社の経営そのもの。そう簡単には変えられません。これが、多くの中小・スタートアップが直面する、厳しくもリアルな現実です。
「ウチは給料が低いから」という諦めが、「今ある武器」を見えなくさせる
しかし、僕が本当に問題だと感じたのは、年収の差そのものよりも、「どうせウチは…」という諦めのマインドでした。この諦めこそが、最大の敵なんです。
「年収で勝てないから」と思った瞬間、思考は停止します。
「年収以外に、ウチで働く魅力はなんだろう?」
「どうすれば、その魅力を候補者に伝えられるだろう?」
本来しゃかりきになって考えるべき、これらの「今ある武器」を探す努力を、自ら放棄してしまう。これでは、勝てる戦いも勝てません
【核心】「年収で辞退された」は本当か? その“一点突破”の思考がミスマッチを招く
もしかしたら、本当の理由は、
⚫︎面接官の態度が、どこか上から目線だった
⚫︎事業の将来性に、ワクワクしなかった
⚫︎「この人たちと働きたい」と心が動かなかった
これらが積み重なった結果かもしれないのに、僕たちは「年収」という分かりやすい理由のせいにして、思考停止していないでしょうか?
「年収」という“点”だけを見て、その裏にある候補者の本音から目をそむけること。それこそが、採用のミスマッチを加速させる最大の原因なんです。
なぜ「“選社軸”を見極める」ことが内定辞退を覆すのか?
候補者の「年収」の裏にある多様な背景(家族、介護、それとも野望か?)
「年収」と一口に言っても、その言葉の裏にある背景は、人によって全く違います。
⚫︎「家族を養うために、最低でもこの金額が必要だ」という切実な生活
⚫︎「親の介護費用を捻出しないといけない」という責任
⚫︎「自分の市場価値の証として、この金額は譲れない」という野望やプライド
この背景を捉えずに、「はい、〇〇万円ですね」と金額だけで勝負しようとするから、他社にもっと高い金額を提示されたら、あっさり負けてしまう。
「なぜ」を深掘りしない限り、「点(金額)」の勝負からは抜け出せない
だからこそ、僕たちがやるべきことは、「なぜ?」の深掘りです。
「希望年収は〇〇万とのことですが、差し支えなければ、その背景や理由を教えていただけますか?」
この一言が、単なる「金額勝負」から、候補者の人生に寄り添う「“選社軸”勝負」へと、土俵を切り替えるスイッチになります。
決め手は「大谷翔平」戦法。メジャー(競合)を蹴らせた「軸」への徹底アプローチ
年収の壁を越える「“選社軸”を見極める」実践3ステップ
では、具体的にどうすれば「“選社軸”」を見極め、年収の壁を越えることができるのか。僕が現場で必ず実践している3つのステップを紹介します。
ステップ1:徹底ヒアリング(候補者の「選社軸」と「背景」を掴む)
まず、オファー面談に対する認識を改めてください。
オファー面談とは、「金額提示の場」では断じてありません。
「候補者の人生と、会社の未来をすり合わせる、最後の“口説き”の場」です。
だからこそ、ここで初めて本音を引き出す質問を投げかけます。
⚫︎「なぜ、その年収が必要なんですか?」
⚫︎「いろいろな会社を見ていると思いますが、あなたが会社選びで本当に譲れない“軸”は何ですか?」
⚫︎「逆に、ウチに対してまだ不安に思っていること、懸念点はありますか?」
ここで重要なのは、相手の言葉の裏にある「背景」まで、しゃかりきになって聴きに行く姿勢です。
ステップ2:競合比較(「メジャー」と「日ハム」何を提示できるか)
候補者の「選社軸」が見えてきたら、次は「競合」の分析です。
日ハムが「メジャー」という競合を分析したように、僕たちも候補者が悩んでいるであろう競合他社の強みを把握する必要があります。
「今、A社さんと悩んでいらっしゃると聞きました。率直に、A社のどんな部分に魅力を感じていますか?」
恐れずに、正直に聞いてみてください。候補者が「年収」と答えるなら、それは一つの軸。もし「裁量権の大きさ」と答えるなら、そこが勝負のポイントです。
競合の強み(=候補者が惹かれている軸)を把握した上で、初めて「その軸に対して、ウチなら何が提供できるか」という、「今ある武器」を磨き込むことができます。
ステップ3:未来プレゼン(「あなたの夢(選社軸)は、ウチでこそ叶う」と口説く)
ヒアリングで「軸」を掴み、競合と比較して「武器」を磨いたら、最後は栗山監督のように「未来」をプレゼンします。
ここで大事なのは、「あなた専用」のオファーである、と伝える熱量です。
⚫︎「あなたがウチに入社したら、3年後にはこういうキャリアパスを歩めます」
⚫︎「あなたの『〇〇したい』という選社軸は、ウチのこの事業でこそ最速で実現できます」
⚫︎「確かに年収はA社より低いかもしれない。しかし、ウチで得られるこの経験と裁量権は、あなたの5年後の市場価値を必ず高めます」
年収という“点”ではなく、その人の「選社軸」という“線”に対して、会社としてどう伴走できるか。それを本気で語り尽くすんです。
勝負はオファー面談の「前」に決まっている
重要なのは面接からの「選考体験」全体。入社意欲はそこで形成される
ここまでオファー面談の技術をお伝えしてきましたが、実は、厳しい現実を一つお伝えしなければなりません。
それは、オファー面談の時点では、ほぼ勝負は決まっている、ということです。
オファー面談でいくら熱いプレゼンをしても、それまでの一次面接、二次面接での体験が悪ければ、逆転ホームランは打てません。
「この会社で働きたい!」という入社意欲(=志望度)は、オファー面談という「点」で生まれるのではなく、候補者が会社と接触するすべての「選考体験」という“線”で積み上げられていくものなんです。
面接官の「上から目線」が、オファー面談の効果を全て台無しにする
明日からできること:候補者の「年収以外の」会社選びの軸を3つ聞いてみよう
まとめ:採用は「点」ではなく「軸」で戦おう
今回は、「年収勝負」から脱却するための採用戦略についてお話ししました。
重要なのは、候補者が口にする「年収」という“点”に振り回されるのではなく、その裏側にある「なぜ?」という背景であり、その人が本当に大切にしている「“選社軸”」をしゃかりきになって見極めることです。
そして、その「軸」に対して、自社が持つ「今ある武器」で、どんな未来を提示できるかを本気で考え、口説き抜くこと。
採用は、経営そのものです。
そして、採用活動は「机上の空論」ではなく、候補者の人生と向き合う「血の通った活動」であるべきだと、僕は強く信じています。
最後に、この記事を読んで「ハッとした」あなたが、明日からできる具体的なアクションリストを贈ります。
- 「年収で辞退された」という報告を鵜呑みにしない。(「本当の理由は何だったんだろう?」と一歩立ち止まる)
- 次の面接から「年収以外の選社軸を3つ」聞いてみる。
- 自社の「今ある武器(年収以外の魅力)」を、最低3つ書き出してみる。(例:裁量権、成長環境、経営陣との距離、社風…)
- オファー面談を「口説きの場」と再定義し、候補者専用のプレゼン資料を1枚だけでも作ってみる。
▼CTA(行動喚起)
「机上の空論ではない、血の通った採用戦略を一緒に考えたい」
「ウチの“今ある武器”が何か、壁打ちしてほしい」
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