スタートアップの1人目人事が陥る3つの失敗
「あれ、採用ってこんなに難しかったっけ?」と天を仰ぐ前に
スタートアップが年商1億円を捉え、役員数名と業務委託メンバー十数名で“ゼロイチ”を抜け始める頃には、売上こそ順調に伸びますが、案件を捌くための人員が決定的に不足しがちです。
営業は取れるのに現場を回す手が足りず、役員はプレイヤー兼マネージャーとして現場対応に追われます。業務委託が20名、30名、50名と増えるにつれ、オンボーディングや品質管理の負荷は加速度的に膨らみ、いよいよ「誰かが人事をやらなければ回らない」という局面に突き当たります。
ところが多くのスタートアップでは、専門の人事を雇わず、結局は「人事未経験の役員がそのまま“1人目人事”になる」ケースがほとんどです。
正社員を採用すれば社会保険料込みでコストは給与の約1.5倍に跳ね上がり、解雇も容易ではありません。キャッシュに余裕のないフェーズでこの負担を背負うのは大きな賭けです。さらに、人事の失敗パターンを知らないまま走り出すと、半年〜1年で採用が行き詰まり、売上は伸び悩み、役員だけが疲弊する──そんな悪循環に陥りかねません。
こうして「人事未経験の役員が1人目人事を兼務する」という暫定体制のまま走り出すと、最初は「とりあえず求人を出せば何とかなるだろう」と楽観しがちです。しかし、採用は“勘と根性”だけでは伸びません。
市場相場を見据えた職種設計、魅力を言語化するブランディング、面接フローの整備、さらには入社後のオンボーディングや定着支援まで、一つでも歯車が噛み合わなければ全体が止まります。
そこで多くのスタートアップは「専門家の力を借りよう」と考え、外部リソースに活路を見いだします、、、
ところが、この判断が最初の落とし穴になりやすいのです。次に紹介する三つの失敗パターンは、まさにその“外部の使い方”を誤った結果として頻発します。
失敗パターン ①

「人事コンサルに採用戦略や設計を頼んだけど、泥臭い実行が回らない」
スタートアップの役員はプレイングマネージャー。日々のカオスをさばく中で “採用戦略だけ” 外部に丸投げする誘惑は強いです。たしかに資料はピカピカ、ペルソナ設計もロジカル、KPIツリーも芸術的。でも現場でやることは山ほどあります。
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求人票を媒体ごとに書き分ける
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社員インタビューを撮って記事に起こす
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候補者体験を担保するため日程調整・合否連絡を即日で回す
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こうした「泥臭い実行」を担う人がいなければ、戦略はホワイトボードの上で朽ちるだけ。結果、応募は集まらず、「やっぱりスタートアップは人が来ないね」で終わる。最初に払ったコンサル費用と時間だけが消えていきます。
失敗パターン ②

「運用担当だけ入れたら、そもそも戦略が立たない」
逆に「戦略なんて後でいいから、とにかく求人を出そう」と考え、経験年数浅めの採用アシスタントを業務委託で入れるパターン。彼らはオペレーション専門なので、 どの職種をいつ・いくらで・どのチャネルで口説くかを決められません。
そのまま求人媒体に“とりあえず”で掲載 → 応募ゼロor 的外れ人材が殺到 → 現場が面接疲弊 → 結局採用ゼロ。
戦略不在のまま回し始めても、数字は溜まらず改善点も見えず、メンバーは疲れ、半年後にふりだしへ戻ります。
失敗パターン ③

「戦略も実行も頑張ったのに、仕組み化できずブラックボックス化」
そして最ももったいないのが、この “あと一歩” の罠。役員+外部パートナーで戦略を描き、求人票を書き、面接も走り出した。なのに──
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KPI/KGIが可視化されていない(媒体別応募・面接・内定率がブラックボックス)
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PDCAが回らない(何に時間とコストを投下すべきか分からない)
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ナレッジが属人化(担当が抜けたら全データが頭の中)
結果、「進んでいるはずなのに実感がない」「数字で語れないから次の投資判断ができない」という声が経営会議で噴出。ここで組織モメンタムが一気に失われ、ハイスピード成長のチャンスを逃します。
じゃあ、どうすればいい?─“戦略+実行+仕組み化”をワンセットで考える
正直、 1人目人事に求められるのは“採用だけ”じゃない。
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採用戦略を描き、
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泥臭く実行し、
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KPIを溜めて仕組み化する。
この三つを丸ごと回せる人材はそう多くありません。だからこそ、外部パートナーを使うにしても「どの領域を、いつ、誰に任せるか」を経営陣が握っておく必要があります。
だからこそ「HaReエージェンシー」を使ってください。戦略・実行・仕組み化を丸っとやりきるサービスです。半年で採用成功と仕組み化を終え、社内の1人目人事へバトンを渡す。スタートアップが“人材不足でスケール停滞”に陥る時間を最短にする。
と、営業トークはこのくらいにして(笑)。
経営者が今日からできる3つの先行投資

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「年間採用計画」を事業計画に埋め込む
年商5,000万~1億円を越えたら、月30万円〜50万円の人事業務委託は現実的です。更に成長スピードがとどまらないなら、正社員人事の人件費をPLに書き込む覚悟を先に決めましょう。 -
カルチャーと言語化セットを早めに作る
社員数十名規模で「求める人物像は?」「組織のカルチャー・価値観は?」「休日は?労働時間は?リモートOK?」がフワッとしている企業には、ハイレベル人材は来ないです。福利厚生の整備と“会社の魅力”の物語化は、営業資料と同時に先行して用意しておくと後がラクです。 -
オペレーションのログを絶対に溜める
Googleスプレッドシートでも良いので、「媒体/職種/応募数/面接数/内定数」を初期から記載。半年後に「どこに投資すべきか」が可視化されるだけで、採用スピードは倍加します。
おわりに:採用で止まった成長は、二度と戻らない
スタートアップは“時間”が最大の資源。半年採用が止まると、売上は伸びず、事業の熱量も冷め、競合に抜かれる。「1人目人事をどうするか」は、資金調達額やプロダクトの出来と同じくらい会社の未来を決めるテーマです。
「戦略だけ」「実行だけ」「仕組み化だけ」──そのどれか一つでも欠ければ、スタートアップの採用はすぐ詰まる。
もし今「そろそろ採用どうしようかな」と思った瞬間が 動くべき最速のタイミング。準備を始めた会社だけが、人材不足の壁を越えて次のフェーズへ駆け上がれます。
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□難易度の高い職種に対して、戦略的な採用が実行できていない
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□様々な業務が多忙で人材課題に手が付けられない