採用ノウハウ
【もう“尋問”は終わり】候補者の本音を引き出す「魔法の質問7選」
面接ではすごく良く見えたのに、入社後に「あれ…?」となってしまう。
いざ一緒に働いてみるとストレス耐性に課題があったり、なかなか定着・活躍してくれなかったり…。採用担当なら誰しも一度は頭を抱える「入社後のミスマッチ」、本当に難しい問題ですよね。
面接では手応えを感じたはずなのに、どこか本質に触れられていない。質問をしても、スルッとかわされているような、あの独特の感覚。
この記事は、そんなもどかしい思いをしている、中小・スタートアップ企業の経営者や人事担当者のために書きました。読み終える頃には、あなたの面接が、候補者の「本音」を自然に引き出し、自社に惹きつける「最高の出会いの場」に変わることを約束します。
これまで複数社の採用を支援する中で、私自身が人事として面接をしたり、クライアント企業の面接に同席したりしてきました。
そこで見えてきたのは、候補者の本音を見逃してしまう、もったいない面接の「あるある」です。もしかして、あなたも無意識にやってしまっていませんか?
(共感)あるある1:ラリーが続かない「打ちっぱなし質問」と重い沈黙
「志望動機を教えてください」→(回答)→「では次に、自己PRを…」
まるでアンケート用紙を上から順に読み上げるかのような、一問一答形式。これ、本当に多いんです。
質問を投げっぱなしにして、返ってきた答えに対して深掘りも共感もない。これでは候補者も「壁」に向かって話しているような気分になり、本音なんて出てくるはずがありません。
(共感)あるある2:候補者の心を凍らせる「無表情・無反応」な態度
特にオンライン面接で顕著なのですが、画面に映る面接官の表情が固かったり、下からのアングルで威圧的に見えたりするケース。
候補者が一生懸命話しているのに、PC画面に目を落としたまま相槌も打たない。これは候補者からすると、「自分の話に興味ないのかな…」と不安に感じる最悪のサイン。
心理的安全性がなければ、心はどんどん閉じてしまいます。
(共感)あるある3:「誰に何を見られているか分からない」自己紹介なき面接
意外と多いのが、面接官が自分の名前や役職を名乗らずに面接を始めてしまうこと。候補者からすれば、目の前の相手がどんな立場で、どんな視点で自分を見ているのか分からないまま話さなければいけません。
これでは、まるで正体不明の相手に取り調べを受けているのと同じ。安心して自己開示なんてできませんよね。
できれば事前に、面接官の簡単なプロフィールやインタビュー記事なんかをお渡ししておくと、候補者も親近感が湧いて、より対話しやすい空気が作れますよ。
(共感)あるある4:スキルチェックだけで1時間が終わる「経歴確認」作業
職務経歴書に書いてあることをなぞるだけの質問に、多くの時間を費やしていませんか?
「〇〇のご経験について、詳しく教えてください」もちろんそれも大事です。
でも、その確認作業だけで面接時間の大部分を使ってしまうと、候補者の価値観やポテンシャルといった、本当に知りたい「内面」にまでたどり着けずにタイムアップ、なんてことになりかねません。
(共感)あるある5:会社の魅力が全く伝わらない「売り込みゼロ」の姿勢
面接は「候補者を評価する場」であると同時に、「自社を売り込み、選んでもらう営業の場」でもあります。
にもかかわらず、自社の魅力や仕事のやりがいを語ることなく、ネガティブな側面ばかりを伝えてしまうケースも。「うちは大変だよ」と正直に伝えることは誠実かもしれませんが、それ以上に「でも、こんなに面白い仕事なんだ!」という情熱を伝えなければ、候補者の心は動きません。
じゃあ、どうすればいいのか。
私がたどり着いた答えは、面接の捉え方を根底から変えること。
それは、面接を「尋問」ではなく、「卓球のラリー」だと考えることです。
質問というサーブを一方的に打ち続けるのではなく、候補者からの回答という返球を、「なぜ?」「具体的には?」という一打で深く打ち返し、ラリーを続ける。このラリーこそが「対話」であり、候補者の本質を理解する唯一の方法なんです。
(発見)マインドセット:「評価者」から「口説きたい営業担当」へ
まず、あなたのマインドセットを変えましょう。
あなたは「評価者」である前に、自社の未来を託したいと思う最高のタレントを「口説き落とす営業担当」です。この意識を持つだけで、言葉遣いや表情、聞く姿勢がガラリと変わるはず。
キャリアSNS「YOUTRUST」が提唱するように、企業と個人が対等な立場で向き合う。この発想が、これからの採用のスタンダードになります。
(発見)基本の構え:カメラON、笑顔と頷きで「興味」を伝える
特にオンラインでは、非言語コミュニケーションがめちゃくちゃ重要。
カメラは必ずONにして、目線が合う角度に調整する。そして、意識的に口角を上げて、候補者の話に「うん、うん」と頷きながら聞く(ポジティブリスニング)。
「あなたの話に、めちゃくちゃ興味があります!」というメッセージを、全身で伝えてください。この安心感が、候補者の本音を引き出す土壌になるんです。
(希望)ラリーの基本:「なぜ?」「具体的には?」で深く打ち返す(深掘り)
良いラリーの基本は、相手が打ち返しやすい、それでいて考えさせるボールを返すこと。
候補者の回答に対し、「すごいですね!」で終わらせない。「なぜ、そう考えたんですか?」「具体的には、どんな行動を?」と、思考のプロセスや行動特性を深掘りする質問を重ねましょう。
表面的なスキルではなく、その人のポテンシャルや熱意といった「心の内側」を引き出すことが、深掘りの本質です。
(希望)必勝パターン:「その経験は弊社で活かせますね」と返す(魅力付け)
ラリーが盛り上がってきたら、ここぞという場面で必殺のスマッシュを。それは「魅力付け」です。
候補者の素晴らしい経験や価値観に対して、「そのご経験、うちの〇〇という課題でめちゃくちゃ活かせそうですね!」と具体的にフィードバックする。
こう言われて、嬉しくない人はいません。
候補者は「この会社は自分のことを理解してくれる」「ここでなら活躍できそうだ」と、入社への期待感を一気に高めてくれるはずです。
さあ、ここからは「Ping-Pong(卓球)面接」を始めるための、強力な質問を7つ、皆さんにお渡しします。
コピペしてそのまま使うだけでも効果は絶大ですが、大事なのは「なぜこの質問をするのか」という意図を理解すること。ぜひ、ラリーを始めるきっかけにしてください。
(解決策)1.【学習能力】過去の失敗から「素直さ」と「成長力」を見る質問
「これまでの仕事で最も後悔している判断は何ですか?その時なぜその判断をしたのか、今振り返ってどう思いますか?」
失敗談は、その人の本質が最も表れるテーマです。
人のせいにせず、事実を客観的に分析し、そこから何を学んだかを自分の言葉で語れるか。
ここに、候補者の「素直さ」と「学習能力」が凝縮されています。
(解決策)2.【価値観】仕事の優先順-位から「カルチャーフィット」を探る質問
「仕事において、『やりがい』『安定』『成長』『人間関係』の4つの中で、どの順番で大切にしていますか?なぜその順番なのか理由も教えてください。」
会社の文化と候補者の価値観がズレていると、早期離職の大きな原因になります。
この質問で、候補者が仕事に求める「根っこ」の部分が見えてきます。
ここで得た回答と、実際の転職理由に矛盾がないかも、重要なチェックポイントです。
(解決策)3.【ストレス耐性】具体的な状況設定で「人間性」をあぶり出す質問
「最近、仕事でイライラしたのはどんな時ですか?その時どう対処しましたか?」
ストレス耐性は、チームで働く上で欠かせない要素。
「特にありません」という建前を崩し、具体的な状況を聞くことで、その人のストレスの感じ方や対処パターン、感情のコントロール能力が見えてきます。
(解決策)4.【転職理由】究極の仮定で「本当の志向性」を引き出す質問
「もし現在の会社で、あなたが理想とする環境が100%実現したとしても、それでも転職したいと思いますか?」
「現職への不満」が転職理由なのか、それとも「新しい挑戦への意欲」が理由なのか。
この質問は、候補者の転職における本当のドライバーを明らかにします。
後者であれば、環境が変わっても輝き続けるポテンシャルを秘めている可能性が高いです。
(解決策)5.【客観性】他者視点の質問で「自己認識力」を測る質問
「チームメンバーがあなたの悪口を言うとしたら、どんなことを言われると思いますか?」
ギョッとするような質問かもしれませんが、これは自己を客観視できているかを測る、非常に効果的な一打です。
自分の長所だけでなく、短所や他者から見えがちなウィークポイントを理解している人は、組織で成長するスピードが全く違います。
(解決策)6.【成長意欲】行動事実から「本気度」と「自律性」を見抜く質問
「この1年間で、仕事以外の時間を使って学んだり挑戦したりしたことはありますか?なぜそれを選んだのですか?」
「成長したいです」と言うのは簡単。
でも、本当に成長する人は、言われなくても勝手に学んでいます。
この質問は、言葉だけでなく「行動」で成長意欲を証明できるか、その本気度と自律性を見抜くためのものです。
(解決策)7.【コミットメント】未来志向の質問で「長期的視点」を確認する質問
「5年後のあなたにとって、今日の面接はどんな意味を持っていると思いますか?」
目の前の内定がゴールではなく、自身のキャリアという長い道のりの中で、この転職をどう位置づけているのか。
この質問への回答から、候補者の視座の高さと、会社と長期的な関係を築ける人物かどうかが透けて見えてきます。
最高のサーブ(質問)を手に入れても、その後のラリーが続かなければ意味がありません。最後に、この魔法の質問の効果を10倍に高めるための、卓球選手としての心得をお伝えします。
(確信)心得1:沈黙を恐れない。相手の思考を待つ勇気
難しい質問を投げかけた後、候補者が考え込む時間は、むしろチャンスです。
焦って次の質問を被せないでください。その沈黙は、候補者が真剣に自分と向き合っている証拠。
じっくりと相手が思考を整理し、渾身の一打を打ち返してくるのを待ちましょう。
(確信)心得2:「なぜ?」の深掘りで、安易なスマッシュを打たない
表面的な回答に「なるほど」と納得して、すぐに話を終えてしまうのはもったいない。
それは、せっかくのチャンスボールを決めきれないのと同じです。
全ての回答に「もう一歩だけ」踏み込む意識で、「なぜそう思うんですか?」とラリーを続けてください。
(確信)心得3:言葉以外の表情も観察し、流れを読む
人は言葉だけでなく、表情、声のトーン、仕草で多くのことを語ります。
難しい質問をされた時の目の動き、自信のある経験を語る時の声の張り。
非言語コミュニケーションを観察することで、試合全体の流れや、相手の心理状態を読むことができます。
(確信)心得4:複数のラリーから、発言の一貫性を見抜く
一つの質問だけで候補者を判断するのは危険です。
複数のラリー(質問と回答のセット)を通じて、候補者の発言に一貫性があるかを見極めましょう。価値観に関する質問と、転職理由に関する質問の答えが、きちんと繋がっているか。
ここに、その人の信頼性が表れます。
いかがでしたか?
面接は、候補者を一方的に「評価」する場ではありません。ましてや、冷たい「尋問」の場であるはずがない。面接とは、企業と個人が未来を共にできるかを探るための、真剣で、白熱した「卓球のラリー」なのです。
候補者という最高の才能と出会い、心を通わせ、未来を語り合う。そんなエキサイティングな面接を、ぜひ楽しんでください。
最後に、この記事を読んでくれたあなたが、明日からすぐに実践できるアクションリストを贈ります。
【明日からできるアクションリスト】
- まずはオンライン面接の前に、自分の顔が明るく映るかカメラの角度をチェックする。
- 面接の冒頭で、「今日は対話をしたいので、何でも聞いてくださいね」と笑顔で伝える。
- 候補者の回答に、最低3回は「なるほど!」「面白いですね!」とポジティブな相槌を打つ。
- 今回紹介した7つの質問の中から、たった1つでいいので、次の面接で使ってみる。
- 面接の最後に、「今日の面接、楽しかったです」と自分の言葉で伝える。
一つでもいい。ほんの少し意識を変えるだけで、あなたの面接は劇的に変わります。
あなたが最高の仲間と出会い、事業をしゃかりきにドライブさせていくことを、心から応援しています!
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まずは、あなたの会社の課題や悩み、気軽に聞かせてください。
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