作戦会議のホンネ
【視点転換】CFOも納得させる「採用ROI」の高め方
採用はコストセンターか?事業成長エンジンか?
「大量採用してるのに、なぜか人が定着しない…」
「面接ではあんなに輝いて見えたのに、入社したらミスマッチだった」
「CFO(最高財務責任者)からは『採用コストが高すぎる』と責められる…」
中小企業やスタートアップの経営者、人事担当者の皆さんとお話ししていると、こんな悲痛な叫びを本当によく耳にします。
採用は、間違いなく事業成長のエンジンです。
それなのに、採用が「コストセンター」と呼ばれ、経営の「お荷物」のように扱われてしまうのは、一体なぜなのでしょうか?
答えはシンプルです。
あなたが「採用の費用対効果」を、間違ったモノサシで測っているからかもしれません。
この記事では、採用を「コスト」から「投資」へと転換させるための、新しいモノサシである「質の採用ROI」という考え方と、その高め方について、徹底的に解説していきます。
まず、厳しい現実からお話ししなければなりません。
「採用しても、すぐに辞めてしまう」という問題は、今や日本中の中小企業が直面する共通の課題です。
データが示す現実:「入社3年以内」の退職率上昇という市場トレンド
最近の調査データを見ても、残念ながら大卒新入社員の「入社3年以内」の離職率は高止まりしています。
これは市場全体のトレンドであり、「ウチだけじゃないんだ」と安心するためではなく、「この流れにどう抗うか」を真剣に考えるべきサインです。
現場のため息:「たくさん入れて、すぐ辞める」経営が引き起こす悪循環
もしかして、「採用は数だ。何人か辞めるのは織り込み済み」と、どこかで割り切っていませんか?
しかし、この「たくさん入れて、すぐ辞める」経営スタイル、いわば「ザル採用」は本当に危険です。
採用担当者は疲弊し、現場は新人の教育と欠員補充に追われ、既存社員のモチベーションまで下がっていく。まさに、会社の体力をじわじわと奪う「負のスパイラル」なのです。
「採用人数」だけを追う人事の罠
経営陣から「今期は何人採用したんだ?」と問われ、その「人数(量)」だけで評価されてしまう。そんな状況に陥っていませんか?
もちろん、採用人数は大切な指標の一つです。
しかし、それ「だけ」を追いかけると、採用の「質」が置き去りにされます。
「とにかく頭数を揃えなければ」という焦りが、面接の基準を甘くし、結果として「採用してはいけない人」を採用してしまう…。これは、人事として最も避けたい事態ですよね。
経営が見落とす最大の損失:「採用ミスマッチ」が引き起こす費用対効果の悪化
経営者やCFOが見ている「採用コスト」は、求人広告費や紹介手数料といった「見えるコスト」だけであることがほとんどです。
しかし、本当に恐ろしいのは、ミスマッチによる早期離職が発生した際の「見えないコスト」です。
採用ミスマッチとは、単なる「採用の失敗」ではありません。
それは、会社の未来の利益をドブに捨てているのと同じ「経営損失」なのです。
「採用コストが高い」と指摘されたとき、多くの人事担当者は「広告費を削ろう」「紹介会社へのフィーを交渉しよう」と考えがちです。
でも、ちょっと待ってください。
問題の本質は、そこにはありません。
なぜミスマッチは起きる?経営と現場が「本当に欲しい人材」をアサインできていない
そもそも、なぜミスマッチは起きてしまうのでしょうか。
私達がこれまで伴走支援をしてきた中で、最も多い原因がこれです。
経営が欲しい「スペック(経歴やスキル)」と、現場が本当に求めている「人柄(カルチャーフィットや協調性)」が、見事にズレている。
例えば、経営者は「クリエイティブ思考で新しい発想ができる人」を求め、現場は「今のチームに馴染んで、泥臭い仕事も一緒にやってくれる人」を求めている。このズレを放置したまま採用を進めれば、ミスマッチが起こるのは当然ですよね。
短期的な採用ROIの限界(入社時点での評価)
ここで、従来の「採用ROI」の考え方を見直してみましょう。
従来の採用ROIとは、多くの場合、「いかに安く、一人採用できたか(=採用CPA)」を指していました。
この「短期ROI」だけを追求すると、採用の質は確実に下がります。
それは「投資対効果」ではなく、単なる「コスト削減」でしかありません。
今、見るべきは「質のROI」:入社後の定着率と活躍度
私たちが本当に注目すべきは、「質の採用ROI」です。
「質の採用ROI」とは、採用した人が『入社後にどれだけ活躍し、定着し、会社に利益貢献してくれたか』で測る、中長期的な投資対効果のこと。
極端な話、採用コストが100万円かかっても、その人が入社後に1000万円の利益を生み出し、3年以上活躍してくれれば、それは「大成功の投資」ですよね。
逆に、採用コストが10万円でも、3ヶ月で辞めてしまったら、それは「大失敗の投資」なのです。
計算してみよう:「1名の早期離職」が会社に与える本当のダメージ(金額換算)
もし、年収400万円の人材が半年で離職した場合、会社が被る損失はいくらになるでしょう?
どうでしょうか。
採用コストをケチることよりも、ミスマッチによる早期離職を1件防ぐことのほうが、どれほど経営インパクトが大きいか、一目瞭然だと思います。
では、どうすればミスマッチを防ぎ、この「質の採用ROI」を高めることができるのでしょうか?
机上の空論ではない、現場で使える具体的な処方箋を3つ、ご紹介します。
処方箋1:採用基準の明確化(「誰でもいい」から「この人がいい」へ)
まず、採用活動の「土台」を見直しましょう。
「誰でもいいから来てほしい」というスタンスでは、質の高い採用は絶対にできません。
必要なのは、「あなたの会社が、事業成長のために、”この人”が欲しい」と明確に定義することです。
この「基準」が明確になるだけで、面接官による評価のブレがなくなり、ミスマッチは劇的に減ります。
処方箋2:リファラル採用強化が、ROIと定着率を同時に改善する理由
「質の採用ROI」を高める上で、リファラル採用(社員紹介)は非常に強力な武器になります。
なぜなら、紹介してくれる社員が「ウチの会社に合うかどうか」を、一次フィルターとして機能してくれるから。
すでにカルチャーフィットが担保されやすく、入社後のギャップも少ないため、定着率が格段に高い傾向があります。
「ウチはリファラル制度あるけど、機能してないんだよね…」という会社は、紹介してくれた社員へのインセンティブ設計や、「どんな人を紹介してほしいか」というメッセージ発信が曖昧なケースがほとんど。仕組みを見直す価値は十分にあります。
処方箋3:オンボーディングへの「投資」こそが、採用ROIを最大化する
声を大にして言いたいのですが、採用は「ゴール」ではなく、事業貢献への「スタート」です。
どれだけ素晴らしい人材を採用できても、入社後の「受け入れ態勢(オンボーディング)」が雑であれば、その人のパフォーマンスは上がりませんし、早期離職につながります。
「入社したら、あとは現場でよろしく」は、一番やってはいけないことです。
入社後3ヶ月〜半年間、会社全体でその人を「戦力化」し、「定着」させるためのプログラムに「投資」すること。それこそが、「質の採用ROI」を最大化させる最後の、そして最強の一手なのです。
ここまで、「質の採用ROI」という考え方についてお話ししてきました。
CFOに伝えるべきは「採用人数」ではなく「活躍人材の輩出率」
今度、経営会議やCFOと話す機会があったら、こう伝えてみてください。
「今期の採用目標は、単なる人数(量)ではありません。採用した人材が1年後にどれだけ定着し、活躍しているか(=質のROI)で評価してください」と。
「昨年採用したAさんが、オンボーディングを経て、今やトップセールスです。彼(彼女)の採用は、コストではなく、会社にとって最高の『投資』でしたよね?」
この対話ができた瞬間、人事は「コストセンター」から、経営と事業をドライブさせる「戦略パートナー」へと変わります。
採用コストを「使う」から「活かす」へ
採用コストは、「使う」ものではありません。
会社の未来のために「活かす」ものです。
目先の採用CPAに一喜一憂するのは、もうやめにしませんか?
「いかに安く採るか」ではなく、「採用した人と、いかに長く、晴れやかな表情で一緒に働けるか」。
その視点こそが、これからの時代の人事には求められています。
あなたの会社は、まだ「コストセンター人事」を続けますか?
ミスマッチは、採用担当者のせいでも、現場のせいでも、経営者のせいでもありません。
「採用のモノサシ」が古かっただけなのです。
ぜひ、この記事をきっかけに「質の採用ROI」という新しいモノサシを手に入れてください。
最後に、採用を「コスト」から「投資」に変えるために、明日からできる具体的なアクションをまとめます。
- 「早期離職コスト」を試算してみる まずは「1名辞めたらいくらかかるか」を数字で可視化し、経営陣と危機感を共有しましょう。
- 経営と現場を巻き込み「採用基準」を再定義する 「Must/Want/NG」を明確にし、採用の「ズレ」をなくします。
- 「入社後3ヶ月」のオンボーディング計画を見直す 「誰が」「いつ」「何を」教え、サポートするのか。受け入れ態勢を万全にしましょう。
- CFOに「質のROI」で報告する準備を始める 入社者の「定着率」や「活躍データ」を収集し、採用が「投資」であることを証明する材料を集めましょう。
採用活動は、時に泥臭く、大変なことも多いです。
しかし、採用した人がイキイキと活躍し、事業が伸びていく瞬間に立ち会える、最高にクリエイティブな仕事でもあります。
私たちHaReエージェンシーは、「誰もが晴れやかな表情で“働ける”社会を築く」ことをミッションに掲げ、机上の空論ではない、血の通った採用活動を「伴走者」として支援しています。
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