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「自社には特別な魅力はない」会社ほど、いい求人票が書ける|魅力の掘り起こし方

2026年11月4日(水)
集まらない
  • #採用ブランディング
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「自社には特別な魅力はない」会社ほど、いい求人票が書ける|魅力の掘り起こし方

求人を出しても応募が集まらない。そんなご相談をいただいたとき、最初のヒアリングでほぼ必ず出てくる言葉があります。

「うちには、特別なものなんて何もないんですよ」
興味深いのは、この言葉が経営者よりも、人事責任者や部門長から出てくることのほうが多いという点です。
日々現場を回している方ほど、自社を平凡だと感じている。

でも、私たちが採用支援に入って中身を掘っていくと、ほぼ例外なく、その会社にしかない魅力が出てきます。
問題は魅力が存在しないことではなく、それが誰にも言語化されていないこと。

この記事では、私たちが実際に使っている「自社の魅力を掘り起こし、求人票に翻訳するまでの手順」を、そのままお伝えします。

この記事でわかること

  • 「何もない」と言う会社ほど魅力を持っている理由
  • 魅力を掘り出す「4P」の整理方法
  • 社員インタビューで聞く7つの観点
  • 「風通しがいい」が何も伝えていない理由
  • 集めた生の声を採用以外にも活かす方法

「何もない」と言う会社ほど、実は持っている

何十年も続いていること自体が、すでに魅力である

「うちには何もない」とおっしゃる会社に限って、創業から何十年と続いていたりします。
考えてみてください。景気の波があり、産業構造が変わり、感染症で世の中が止まった時期もありました。そのすべてを越えて、今日も社員に給与を払えている。これは、かなり特別なことです。

続いてきたということは、続いた理由が必ずあります。取引先が離れなかったのか。技術が代替されなかったのか。
人が辞めなかったのか。どれであっても、それは候補者にとって「安心して腰を据えられる場所かどうか」を判断する材料になります。

ところが社内では、これが空気になっている。毎日吸っているものを、人はわざわざ魅力とは呼びません。

上場していても「うちはネームバリューがないので」と言う

同じ現象は規模を問わず起きます。
上場企業であっても、「BtoBなので世間には知られていない、だからうちはダメなんです」という声を本当によく聞きます。

たしかに、誰もが知っている企業は強い。社名を聞いた瞬間に候補者の頭の中でイメージが立ち上がるので、魅力を感じてもらうまでの距離が短いんですね。
この点で知名度のある会社が有利なのは、事実です。

ただ、そこから「だから中堅・中小企業には勝ち目がない」と結論づけるのは早すぎます。
私たちが支援の現場で見てきた限り、規模の大小にかかわらず、自社の魅力をきちんと訴求できた会社には、ちゃんと人が集まります。

伝えるものがないのではなく、伝わる形になっていないだけ。ここを混同したまま媒体を変えたり、予算を足したりしても、結果は変わりません。

本当の問題は、魅力がないことではなく、客観性がないこと

では、なぜ自社の魅力は言語化されないのか。
理由はシンプルで、自分のことを自分で分析するのが、いちばん難しいからです。

人は自分の顔を直接見ることができません。会社も同じで、内側にいる人ほど、自社の特徴が見えなくなります。
外から来た人が「その任され方、けっこう珍しいですよ」と言っても、社内では「普通ですよ」と返ってくる。
この温度差が、そのまま求人票の物足りなさになって表れます。

もしかして、自社の魅力を「思い出そう」としていませんか。
思い出せる範囲のものは、たいてい既に求人票に書いてあります。
今の求人票に書けていないものは、思い出す対象ではなく、外部の目で見つけてもらう対象なんですね。

魅力は探すものではなく、掘るもの——4Pで分解する

「自社には特別な魅力はない」会社ほど、いい求人票が書ける|魅力の掘り起こし方(図解)

私たちが実際にやっているのは、感覚で魅力を語ることではありません。多角的に情報を集め、構造に分解していく作業です。

まず、多角的に情報を集める

集める材料は、大きく次の通りです。

  • 社員・従業員へのインタビュー(複数名、できれば職種・在籍年数を散らす)
  • 中期経営計画、事業計画などの経営資料
  • 組織図、評価制度、研修・教育体系
  • これまでの採用実績と、退職が起きた場面の傾向

特に効くのが中期経営計画です。数年後に会社がどこへ向かおうとしているかは、候補者にとって「入社後に自分が関われる仕事」そのものだからです。今ある業務の説明だけでは、未来の話ができません。

集めた情報を、4Pで大きく分け、因子まで小さく分ける

集めた情報は、魅力要因の4Pで大きく仕分けます。

そのうえで、4つをさらに小さく割っていきます。
私たちは8つ前後の因子まで分解し、ひとつずつ「これは本当に自社の特徴と言えるか」「他社と比べたときに成立するか」を検証していきます。

ここまでやると、その会社の魅力がどこにあるのかが、感覚ではなく客観的に見えてきます。
そして分解した因子の数だけ、訴求軸が生まれる。
求人票のタイトル、冒頭の一文、エージェントに渡す資料、面接で口頭で語る内容まで、全部この因子から引っ張ってこられるようになります。

何を聞くのか——社員インタビュー7つの観点

情報収集の中でも、社員インタビューは核になります。私たちが実務で使っている観点は、次の7つです。

いちばん効くのは、ネガティブを聞く質問

7つの観点の中で、求人票の解像度を最も上げてくれるのは、実はネガティブ側の質問です。
大変だったこと。プレッシャーを感じる場面。この仕事に向いていない人のタイプ。入社前に知っておきたかったこと。

ポジティブな話だけを集めると、どの会社も似たような言葉に着地します。「風通しがよくて」「人がいい会社で」。これでは差がつきません。
一方、大変さの中身は会社ごとにまったく違うので、そこを聞いた瞬間に、その会社にしかない輪郭が出てきます。

もうひとつ、実利もあります。入社前後のギャップは、早期離職の主要因のひとつです。
大変な部分を先に開示しておけば、そこを承知した人だけが応募してくる。応募数が少し減ることはありますが、会う人の質が変わります。

「風通しがいい」は、何も伝えていない

「自社には特別な魅力はない」会社ほど、いい求人票が書ける|魅力の掘り起こし方(図解)

ここからは、集めた材料をどう書くかの話です。
書き方の要は、候補者の自分ごと化にあります。読んだ人が、その会社で働いている自分をリアルに想起できるかどうか。
ここが分かれ目になります。
「柔軟な社風です」「風通しがいい職場です」「福利厚生が充実しています」。こう書いても、残念ながらほとんど伝わりません。
抽象的な言葉は、読み手の頭の中で像を結ばないからです。
大事なのは、社員がどんな場面を経験して、そう感じたのか。エピソードまで降ろすことです。

ある社員の言葉から生まれた訴求

先日、あるお客様の社員インタビューを実施したときのことです。
会社側は「うちは特別なことはしていない」というスタンスでした。ところが社員の方から、こんな話が出てきました。

  • 面接のときから、一人ひとりをちゃんと見ようとしてくれていると感じた
  • 入社してみて、そこにギャップがなかった
  • 自分の特性や性格を見ながら、周囲が合わせて動いてくれる。そのうえで、言うべきことは線を引いて伝えてくれる
  • 上司が、これまでの経験を活かせる仕事に加えて、まだできていないことに挑戦できる機会まで設計してくれた

これらはすべて、「人を大事にする会社です」「成長できる環境です」という一行の中身です。経営側からは、まず出てこない言葉でした。
抽象と具体を並べると、差は一目でわかります。

「約束できないこと」を決めるのも、書き方のうち

もうひとつ。等身大で書くために、約束できないことを先に決めておくと強くなります。
たとえば、大手企業のような規模の案件は約束できない。
その代わり、事業の転換期にしかない経験、仕組みをゼロから作る経験は積める。
こう書き分けたほうが、あれもこれも良く見せようとした求人票より、はるかに信頼されます。
候補者は、思っている以上によく読んでいます。

生の声は、採用だけの資産で終わらない

最後にお伝えしたいのが、社員の生の声の使い道です。
インタビューで集めた言葉は、求人票を書いて終わりではありません。

「入社前に知りたかった情報」は、そのまま入社後オンボーディングの設計図になります。
「合わない人のタイプ」は、選考基準そのものです。上司の関わり方についての話は、他の部署でも再現すべきマネジメント行動として展開できます。

採用と定着は別々の施策に見えて、実は同じ一次情報から解けるんですね。私たちが採用支援を入口にしながら、教育・定着や評価制度の設計まで関わることが多いのは、この一次情報が地続きだからです。
社員の言葉を集めるという作業は、採用のためのコストではなく、人と組織を扱うすべての打ち手の土台になります。

まとめ

「うちには、特別なものなんて何もない」
この言葉は、魅力がないことの証明ではありません。
自社を自分たちだけで見つめてきた時間が長い、というだけの話です。何十年も続いてきたこと、知られていなくても選ばれ続けてきたこと、社員が語る何気ないひとこと。
そのすべてが、まだ言語化されていない魅力の断片です。

必要なのは、外の目を入れて、多角的に情報を集め、4Pで分解し、社員の言葉で語り直すこと。
順番にやれば、必ず出てきます。私たちはこれまで、「何もない」と言っていた会社が、自社の言葉を取り戻していく場面に何度も立ち会ってきました。

自社の魅力に気づいた会社は、採用が変わります。そして採用が変わると、そこで働く人の表情も変わっていきます。


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執筆者プロフィール

飯澤 祥平

Hareエージェンシー

代表取締役 CEO 飯澤 祥平

・お笑い芸人としてキャリアをスタートし
「人を笑顔にする」舞台経験を経て人材業界へ
・複数社で人事責任者を歴任後、独立系コンサル「HaReエージェンシー」創業
・ハイブリッド型採用支援「H.A.R.E」×DXで採用~定着を一気通貫支援

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