採用担当が一人の会社は、何を手放すか|残す仕事と任せる仕事の分け方
「採用に時間を取られるほど、本来やるべき仕事ができない。でもやらないと人が来ない。ループしていました。」
役員が一人で採用を回していた会社で、担当の方が振り返った言葉です(出典: 株式会社HaReエージェンシー「導入事例 エンタメ業・従業員約50名」)。
実際、人事・採用担当者1,647人への調査では、72.4%が総務や労務など、人事・採用以外の業務も兼ねていました。
従業員2〜299名の企業では、採用業務に割けている時間は平均35.5%です(出典: Indeed Japan「『採用担当者の業務実態』に関する調査」2021年)。
では、限られた時間の中で、何を自分で続け、何を手放せばいいのか。
手がかりは、採用担当の時間がどこに消えているかにあります。
この記事では、採用担当者の業務実態の調査と当社の支援事例をもとに、採用担当が一人の会社が手放す仕事と残す仕事の分け方を解説します。
この記事でわかること
- 採用担当が一人の会社で、採用が止まる理由
- 採用の仕事を「決める・仕組み・任せる・やめる」の4つに分ける方法
- 手放す順番と、最初の2週間でやること
- 一人担当が最後まで手放さないほうがいい仕事
- 役員が一人で回していた採用を、仕組みに変えた会社の事例

目次
採用担当が一人の会社で、採用が止まるのはなぜか?
採用が止まるのは、採用の仕事が、担当者の空いた時間にしか進まないからです。
一人で兼務していると、本業が忙しい週は応募の確認も連絡も後回しになります。
Indeed Japanの調査では、従業員2〜299名の企業で、採用業務に割けている時間は平均35.5%でした。
300名以上の企業では5割を超えています(出典: Indeed Japan「『採用担当者の業務実態』に関する調査」2021年)。
その少ない時間も、多くは面接の前の調整に使われています。
Indeed Japanの調査で、応募があってから内定を出すまでの時間の内訳を見ると、次のとおりでした(出典: Indeed Japan「『採用担当者の業務実態』に関する調査」2021年)。
| 応募から内定までの仕事 | 時間に占める割合 |
|---|---|
| 面接の前の各種調整 | 平均52.4% |
| 面接の実施・同席 | 平均16.1% |
日程調整の途中で、応募者と連絡が途絶えることもあります。
Indeed Japanの調査では、74.9%の担当者が、応募者と連絡が取れなくなる経験をしていました。
「面接の日程調整に入ってから連絡が途絶えた」は33.4%です(出典: Indeed Japan「『採用担当者の業務実態』に関する調査」2021年)。
規模が小さい会社ほど、採用そのものも難しくなっています。
マイナビの調査では、従業員3〜50名の会社で、2025年に中途採用で1人以上「採用できた」のは66.8%でした。
51名以上の会社では、どの規模も87%を超えています(出典: 株式会社マイナビ「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」2026年3月)。
一人で全部を抱えたまま、時間を増やすことはできません。増やせないなら、仕事のほうを分けて減らします。
採用の仕事は「決める・仕組み・任せる・やめる」の4つに分ける
採用担当が一人なら、まず採用の仕事を4つに分けます。分ける基準は「その仕事に、会社の判断が要るかどうか」です。
| 分け方 | 当てはまる仕事の例 | 誰がやるか |
|---|---|---|
| 決める | 求める人の要件、採る人数と時期、最終面接と合否、内定の条件 | 採用担当(社長・配属先の責任者と一緒に) |
| 仕組みに任せる | 面接の日程調整、応募の受付と一覧での管理、受付や結果の定型の連絡 | ツールとひな形 |
| 人に任せる | 一次面接や職場見学(社内)、求人媒体の運用やスカウトの配信(社外) | 配属先の社員、外部の会社 |
| やめる | 応募や面接につながっていない作業 | だれもやらない |
この分け方は、当記事の整理です。「決める」以外の3つが、手放す候補になります。
「決める」仕事は、一人担当が持ち続ける
求める人の要件や合否は、会社の外の人には決められません。社外の会社に作業を任せても、判断は会社に残ります。
都道府県労働局も、人材紹介を使う会社に向けて「人材の選定は事業者任せにせず」と案内しています。
面接で、求める能力や技術を身に付けているかを確かめるよう求めています(出典: 都道府県労働局「職業紹介サービスを利用する際のチェックポイント」鹿児島労働局掲載)。
「仕組みに任せる」仕事は、毎回同じ手順のもの
日程調整や定型の連絡は、毎回やることが同じです。判断が要らないので、ツールやひな形に置き換えられます。
Indeed Japanの調査で、応募から内定までの時間の半分以上を占めていたのは、この面接の前の調整でした(出典: Indeed Japan「『採用担当者の業務実態』に関する調査」2021年)。
手放したときに、いちばん時間が戻る場所です。
「人に任せる」仕事は、社内と社外に分ける
社内では、配属先の責任者に一次面接や職場見学を任せます。仕事の中身をいちばん知っているのは、配属先の社員です。
社外には、求人媒体の運用、スカウトの配信、人材紹介会社とのやりとりのように、量が多く手順が決まっている仕事を任せます。
紹介会社とのやりとりの進め方は、記事「エージェントコントロールとは?推薦が来ない原因と5つの進め方」で紹介しています。
「やめる」仕事は、記録を見て決める
応募が来ていない媒体の掲載や、誰も見ていない資料づくりのように、応募や面接につながっていない作業は、手放す前にやめられます。
どれが当てはまるかは、次の章の記録で判断します。
手放す順番は?最初の2週間でやること

手放す仕事は、次の順番で決めます。
- 1〜2週間、採用に使った時間を、仕事ごとに書き出す
- 書き出した仕事を、前の章の4つに分ける
- 「やめる」に分けた仕事を止める
- 「仕組みに任せる」仕事を、ツールとひな形に置き換える
- 「人に任せる」仕事を、社内から先に頼む。足りない分を社外に任せる
1. 採用に使った時間を、仕事ごとに書き出す
応募の確認、連絡、日程調整、面接、媒体の更新、紹介会社とのやりとりのように、仕事の名前と使った時間をメモします。
感覚ではなく記録で見ると、どこに時間が消えているかが分かります。
2〜3. 4つに分けて、「やめる」から止める
書き出した仕事を、前の章の表に当てはめます。
応募や面接につながっていない仕事があれば、先に止めます。
止めても採用の数字が変わらなければ、その仕事は要らなかったと判断できます。
4. 日程調整と応募の管理を、仕組みに置き換える
人事担当2名が財務や法務、経費精算も兼ねていたコンサルティング会社では、日程調整ツールを入れて工数を減らし、兼務のまま回る選考の流れをつくりました(出典: 株式会社HaReエージェンシー「導入事例 株式会社アバージェンス様」)。
この会社では、求人票の見直しや紹介会社の拡大も同時に行っています。
応募の管理は、表計算ソフトの一覧からで十分です。応募者ごとに、いまどの選考の段階にいるかを1か所で見られるようにします。
5. 社内から先に頼み、足りない分を社外に任せる
一次面接や職場見学は、配属先の責任者に頼みます。
それでも手が足りない仕事を、社外に任せます。
社外に任せる前に、次の章の「手放さない仕事」を決めておくと、任せる範囲がぶれません。
一人担当が最後まで手放さないほうがいい仕事
手放さないほうがいいのは、会社の判断が要る仕事です。具体的には次の3つです。
- 求める人の要件 — 誰を採るかを、配属先の責任者とすり合わせて決める
- 面接と合否 — 応募者に会い、採るかどうかを決める
- 進み具合の把握 — 応募から入社まで、どこで人が減っているかを数字で見る
面接は、Indeed Japanの調査で、応募から内定までの時間の16.1%しか使えていなかった仕事です(出典: Indeed Japan「『採用担当者の業務実態』に関する調査」2021年)。
調整を手放して戻った時間は、ここに回します。
進み具合は、作業を社外に任せても、会社が見ておきます。
役員が一人で採用を回していた会社では、応募者ごとの状況や選考の通過率を一覧で見えるようにしました。
担当の方は「数字が見えるようになっただけで、こんなに動きやすくなるとは思いませんでした」と話しています(出典: 株式会社HaReエージェンシー「導入事例 エンタメ業・従業員約50名」)。
事例:役員が一人で回していた採用を、仕組みに変えた会社
従業員約50名のエンタメ企業では、役員が採用を兼ねていて、専任の採用担当者はいませんでした。
役員が求人票を書き、エージェントに連絡し、面接をこなし、また次の求人票を書く。
採用数は年間数名でした(出典: 株式会社HaReエージェンシー「導入事例 エンタメ業・従業員約50名」)。
当社が支援で行ったのは、次の4つです。
- 採用戦略の策定(どのポジションを、いつまでに、どんな方法で採るか。KPIと実行プランの設定)
- 媒体戦略の設計(Indeed・Wantedlyを中心に)
- 応募管理の仕組み化(スプレッドシートで応募者ごとの状況と歩留まりを見えるようにし、のちに採用管理ツールへ)
- 選考フローの整備と標準化
その結果、毎月200〜300名の応募が入る体制ができ、中途正社員5名・業務委託30名の採用が決まりました。
以前の採用数と比べて2.5倍です(出典: 株式会社HaReエージェンシー「導入事例 エンタメ業・従業員約50名」)。
担当の方は、支援のあとをこう話しています。
「採用を仕組みにするという感覚がなかったので、最初は半信半疑でした。でも今は、私がいなくても採用活動が動いている。それが一番の変化です。事業のことに集中できるようになりました。」(出典: 株式会社HaReエージェンシー「導入事例 エンタメ業・従業員約50名」)
成果は、4つの施策を同時に進めた結果です。
採用担当が一人の会社によくある質問
採用担当は何人いればいいですか?
決まった基準はありません。
人数より、採用に使える時間で考えます。
兼務の担当者が1人なら、前の章の手順で、その人の時間を「決める」仕事に集めます。
人事がいない会社では、誰が採用をやればいいですか?
社長や役員が兼ねている会社もあります。
当社の支援事例でも、従業員10名規模の会社では、採用は経営者がその都度対応していました(出典: 株式会社HaReエージェンシー「導入事例 スタートアップ企業(人材サービス業)」)。
その場合も、「決める」仕事は社長が持ち、日程調整や連絡は仕組みと社外に任せます。
一人担当が辞めたら、採用は止まりますか?
やり方がその人の頭の中にしかなければ、止まります。
止めないためには、要件、求人票、連絡のひな形、応募の一覧を、誰でも見られる場所に残しておきます。
新卒・中途あわせて年間40名超の採用計画があった製造業の会社では、仕組みを整えたあと「担当者が2名でも回るようになっていた」と話しています(出典: 株式会社HaReエージェンシー「導入事例 製造業(新卒・中途採用)」)。
この会社では、採用管理ツールの導入と、配属先を巻き込んだ採用プロジェクトも同時に進めています。
まとめ:一人担当の時間は、「決める」仕事に集める
採用担当が一人の会社で採用が止まるのは、採用の仕事が、担当者の空いた時間にしか進まないからです。
手放すときは、次の順に進めます。
- 1〜2週間、採用に使った時間を仕事ごとに書き出す
- 「決める・仕組み・任せる・やめる」の4つに分ける
- やめる仕事を止め、日程調整と応募の管理を仕組みに置き換える
- 社内に頼み、足りない分を社外に任せる
要件、面接と合否、進み具合の把握は、最後まで会社が持ちます。
一人で回している採用を、どこから手放すか一緒に整理したい場合は、ご相談・お問い合わせからご連絡ください。
関連記事:「社長が採用」を抱え込むのは限界?スタートアップこそ業務委託すべき理由
参考文献・出典一覧
| 発行元 | 資料名 | 発行・調査時期 | 確認日 |
|---|---|---|---|
| Indeed Japan株式会社 | 「採用担当者の業務実態」に関する調査(人事・採用担当者1,647名、インターネット調査) | 2021年12月(調査2021年10〜11月) | 2026-10-04 |
| 株式会社マイナビ | 中途採用状況調査2026年版(2025年実績)(人事担当者1,500名、インターネット調査) | 2026年3月(調査2025年12月) | 2026-10-04 |
| 都道府県労働局 | 職業紹介サービスを利用する際のチェックポイント(鹿児島労働局掲載) | 2025年 | 2026-10-04 |
| 株式会社HaReエージェンシー | 導入事例 エンタメ業・従業員約50名 | 2026年 | 2026-10-04 |
| 株式会社HaReエージェンシー | 導入事例 株式会社アバージェンス様 | 2026年 | 2026-10-04 |
| 株式会社HaReエージェンシー | 導入事例 スタートアップ企業(人材サービス業) | 2026年 | 2026-10-04 |
| 株式会社HaReエージェンシー | 導入事例 製造業(新卒・中途採用) | 2026年 | 2026-10-04 |

