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採用業務、AIに任せていいこと・人が手放してはいけないこと

2026年10月29日(木)
HaReの実験
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  • #仕組み化
採用業務、AIに任せていいこと・人が手放してはいけないこと

「採用にAIを使いたい。でも、何から手をつければいいのか分からない」。
そんなふうに感じたことはありませんか?

日程調整に追われ、届いた履歴書を夜に読み、面接の合間に求人票を直す。少人数で採用を回している会社ほど、AIへの期待は大きいはずです。
ところが実際に入れてみると、「確認の手間が増えただけ」「AIの評価をどこまで信じていいか分からない」という声もよく聞きます。

原因はツールの性能ではないことが多い、と私たちは見ています。
任せる業務と、人が握り続ける業務の線引きが先にできていないからです。
この記事では、私たちが自社の業務改革と採用支援の現場で実際に使っている線引きをお伝えします。

読み終える頃には、自社の採用業務を3つに仕分ける表と、最初にAIへ渡す1つの業務が決まっているはずです。

「AIで採用効率化」の前に、業務を分解していますか?

もしかして、ツールを選ぶところから始めていませんか?
私たちも自社の業務改革に着手したとき、最初にやったのはツール選びではありませんでした。
採用プロジェクトの管理業務と、候補者対応を担うリクルーター業務を、書き出して分解する作業です。

分解してみると、「採用業務」とひとくくりにしていたものの中身は、驚くほど性質が違うと気づきます。

採用業務は「定型」「判断」「思考」の3つに分けて考える

分解した業務を眺めていると、だいたい3つの箱に収まっていきます。

ひとつめは定型業務。
手順が決まっていて、誰がやっても同じ結果になりやすい仕事です。
日程の候補を出す、届いた書類を一覧にまとめる、応募数を集計する。
ここはできるだけAIで回した方が、人の時間が浮きます。
ただし、いきなり全部を任せる意味ではありません。渡す順番は後半で触れます。

ふたつめは判断業務。
合否を決める、条件を提示する、この候補者と進めるかを決める。「決める」という行為そのものです。
AIは材料を出せますが、決めるのは人の役割だと私たちは考えています。

見落とされがちなのが、みっつめの思考業務です。
どんな人を採るべきかを考える、自社の魅力を言葉にする、辞退が続いた理由を読み解く。
正解が一つに決まらず、問いを立てて考えることが仕事の中心になる領域です。ここはAIに「示唆」を出してもらいながら、人が考えを深めていく使い方が向いています。

つまり、AIの関わり方は箱ごとに変わります。定型ではAIが実行し、判断では材料を出し、思考では示唆を出す。
「任せるか、任せないか」の二択より、この3段階で見た方が仕分けしやすくなります。

AIに任せていい定型業務(具体例つき)

私たちが実際にAIへ移している、または移せると判断している業務は次の5つです。

  • 面接日程の調整:候補日の提示、リマインド、確定連絡
  • 書類の一次整理:届いた応募書類を一覧化し、あらかじめ決めた基準で「基準を満たす/満たさない/情報が足りない」に振り分ける
  • 応募数・歩留まりの集計:媒体別の応募数、書類通過率、面接設定率を毎週まとめる
  • 面接メモの整理:面接中の会話を記録し、評価項目ごとに整理する
  • 求人票のたたき台づくり:要件と魅力ポイントを渡して、最初の原稿を出させる

弊社では、毎朝の書類一次スクリーニングをAIが回しています。
ただし、設計で譲らないと決めている点がひとつ。
迷う候補者は、AIが決めずに人に相談するという一点です。

「基準を満たす」と「満たさない」の間には、必ず「分からない」が存在します。
経歴の書き方が独特な人、職種名は違うのに中身は近い人、情報が少なすぎる人。ここをAIに無理やり二択で決めさせた瞬間、惜しい候補者を落とし始めます。

この一手間を設計に入れるかどうかで、AIは「便利な部下」にも「勝手に人を落とす機械」にもなります。

人が決める「判断」の業務

判断業務で私たちが大事にしているのは、AIの答えを「判断の代わり」にしないことです。
AIに書類を評価させると、点数や「合格・不合格」の推奨が返ってきます。それをそのまま最終判断にしていませんか。

AIの評価は判断の材料であって、判断そのものではありません。この区別が曖昧になると、「AIが落としたから」と誰も責任を持たない選考が出来上がります。
人が材料として受け取り、最後に「うちの会社としてどうするか」を決める。この形は残しておきたいところです。

条件提示も同じ。相場や過去事例の整理はAIができますが、「この人にこの条件を出す」と決めるのは、会社の意思そのものです。

人が考え、AIが示唆を出す「思考」の業務

いちばん扱いが難しいのが思考業務。見分け方は、抽象度が高いかどうか。抽象度が高い業務とは、正解が一つに決まらない業務のこと。
募集要件の設計と、候補者への魅力づけが、その代表です。

たとえば、経営者から「いい営業を1人採ってほしい」と言われたとします。これをそのまま求人票にすると、何が起きるか。
「いい」の中身が誰にも定義されていないので、応募は来ても、面接で全員が「なんか違う」になります。

私たちが採用支援に入るとき、この依頼をそのまま求人化することはありません。中期の事業計画を開き、3年後にどんな組織になっていたいのか、そのために今の1人に何を任せたいのか、報酬はいくらまで出せるのか。
経営者と対話しながら、抽象的な「いい人」を具体的な人物像に翻訳していきます。

この翻訳作業は、AIだけでは完結しません。
AIは「こういう人物像も考えられます」「この要件だと市場にほとんどいません」といった示唆を出せます。ただ、その示唆を受け取って「うちの会社にとって、どれが正解か」を考え抜くのは、その会社の経営者にしかできない仕事です。

一次面接は「選考」ではなく「候補者が会社を選ぶ体験」

思考業務の中でも、特に人が担った方がいいと私たちが考えているのが一次面接です。

書類選考の延長のような一次面接なら、AIが経歴確認や条件照合の材料をそろえ、人が短時間で結論を出す形でも成り立ちます。
ただ、一次面接には「合否を決める面」と「候補者の体験をつくる面」が混ざっています。
後者こそが本来の役割ではないか、というのが私たちの見立てです。

一次面接は、候補者がその会社に対して最初の印象を決める場です。
ここで会社の説明が薄いと、入社後のミスマッチが起きやすくなります。
魅力づけもできません。
以前、採用を兼務で回している経営者の方に、こう提案したことがあります。

「一次面接の30分は、見極めよりも魅力づけに使ってください。会社の説明を丁寧にできる人を面接官に置いてください」
その方は最初、「人手がないから面接は短く効率的に」と考えていました。
けれど、面接時間を確保して会社の話をしっかりする形に変えると、候補者の反応が変わります。
「選ばれる側」だった候補者が、「選ぶ側」として質問を返してくるようになるのです。

順番を間違えない:立ち上げは人が作り、回り始めてからAIに渡す

ここまで読んで「定型から順にAIへ渡そう」と思われた方に、ひとつだけ順番の話を。

最初からAIに丸投げするのは、おすすめしません。
立ち上げは人がしっかり作り込み、回り始めてからAIに移す。この順番が、遠回りに見えていちばん近道です。

立ち上げの段階では、「何が正解か」をまだ誰も定義できていないからです。書類選考の基準も、面接で確認すべき項目も、最初の数十件を人が見て初めて言葉になります。
その言葉がないままAIに渡すと、AIは「なんとなくそれっぽい基準」で動き始め、誰もそれを検証できなくなります。

私たちも自社の業務改革で、全業務を一度に切り替える進め方は選びませんでした。
まず情報収集のような、基準を言葉にしやすい業務から段階的に移しています。

おすすめの進め方は3段階です。

  1. 立ち上げ:人が業務を回しながら、判断基準を文章にする。「この経歴なら通す」「この場合は保留」を書き出す
  2. 並走:同じ業務を人とAIの両方が行い、結果の差分を毎回確認する。差分が出た箇所が、基準の言葉が足りていない場所です
  3. 移行:差分がほぼ出なくなったら、AIに渡す。ただし「分からない」は人に戻す設計を残す

まとめ:明日からできる3つのアクション

採用業務にAIを入れるとは、人を減らすことではなく、考える時間と決める時間を人に戻すことだと私たちは考えています。明日からできることを3つ。

  1. 採用業務を全部書き出し、「定型」「判断」「思考」の3つに仕分ける。物差しは「手順が決まっているか」「決める行為か」「正解が一つに決まらないか」
  2. 定型業務から1つ選び、判断基準を1枚に書く。「こういう場合はこうする」を箇条書きにする
  3. 2週間、人とAIを並走させて差分を見る。差分が出た箇所を基準に書き足し、差分が消えたら渡す

AIが定型を引き受け、思考の場面では示唆を出してくれる分、募集要件を練る時間と、候補者と向き合う時間が戻ってきます。
一次面接で会社の話をじっくりできるようになったとき、採用は「作業」から「対話」に変わります。


人とAIの役割分担から、人事部の自走まで。
→ 参謀OS(採用の自動化・人事部の自走)を見る

執筆者プロフィール

飯澤 祥平

Hareエージェンシー

代表取締役 CEO 飯澤 祥平

・お笑い芸人としてキャリアをスタートし
「人を笑顔にする」舞台経験を経て人材業界へ
・複数社で人事責任者を歴任後、独立系コンサル「HaReエージェンシー」創業
・ハイブリッド型採用支援「H.A.R.E」×DXで採用~定着を一気通貫支援

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